はじめに:なぜEQが注目されるのか
「頭は良いのに、人を動かせない」
「能力はあるのに、感情に振り回される」
ビジネスでもスポーツでも、成果を分けるのは単なるIQ(知能指数)ではなく、EQ(Emotional Intelligence:感情知能) だと言われています。
心理学者ダニエル・ゴールマンは著書『Emotional Intelligence』(1995)で「EQこそ人生の成功を左右する鍵」と指摘しました。その後、ハーバード大学やスタンフォード大学の研究でも、EQが高い人ほどキャリア満足度・人間関係・リーダーシップの質が高いことが実証されています。
孫子も「将は智・信・仁・勇・厳を備えよ」と説きました。
その中でも「信(人を信じさせる力)」「仁(共感とつながり)」はまさにEQの核心に通じます。
EQの定義と起源
EQとは「自分や他人の感情を正しく理解し、上手に利用・調整できる能力」のこと。
提唱者は2つの系譜があります。
- サロヴェイ & メイヤー(1990)
EQを「感情を知覚・利用・理解・調整する能力」として定義(能力モデル)。 - ダニエル・ゴールマン(1995)
EQを「自己認識・自己管理・動機づけ・共感・社会的スキル」の5要素として紹介(混合モデル)。
学術的には前者が原点、普及したのは後者です。
つまりEQは「科学的裏付け」と「実践的フレーム」の両面を持つ概念なのです。
EQの5つの要素(ゴールマンモデル)

1. 自己認識(Self-Awareness)
自分の感情に気づき、理解する力。
👉 例:怒りや不安を自覚できる人は、衝動的な行動を避けやすい。
2. 自己管理(Self-Management)
感情をコントロールし、冷静に意思決定する力。
👉 例:プレッシャー下でも落ち着きを保ち、最善の行動を選べる。
3. 動機づけ(Motivation)
困難の中でも目標に向かい続ける力。
👉 例:逆境でも諦めず、挑戦を続ける姿勢。
4. 共感(Empathy)
他者の感情を感じ取り、理解する力。
👉 例:相手の表情や言葉の裏にある本音を読み取る。
5. 社会的スキル(Social Skills)
信頼を築き、協力関係をつくる力。
👉 例:チームをまとめ、人を動かすリーダーシップ。
EQの4つの能力(サロヴェイ & メイヤーモデル)
1. 感情を知覚する(Perceiving Emotions)
自分や他人の感情を正確に認識する。
👉 顔色・声のトーン・態度から感情を読み取る。
2. 感情を利用する(Using Emotions to Facilitate Thought)
感情を創造的思考や意思決定に役立てる。
👉 ワクワク感を原動力に新しい発想を生み出す。
3. 感情を理解する(Understanding Emotions)
感情の原因や変化の仕組みを理解する。
👉 怒りが恐怖から来ていることを見抜ければ、対処も変わる。
4. 感情を調整する(Managing Emotions)
感情を適切に制御し、望ましい状態を維持する。
👉 イライラを呼吸法で落ち着かせ、冷静な判断を保つ。
EQと科学的根拠
- ゴールマン(1995):EQは人生成功の80%を左右する
- バー・オン(1997):EQを数値化するEQ-iテストを開発
- ハーバード大の研究:EQが高いリーダーほど部下の離職率が低い
- バウマイスター(1998):意志力の浪費を防ぐには感情制御が不可欠
EQと孫子の兵法の接点
- 己を知る=自己認識
- 彼を知る=共感・社会的認識
- 戦わずして勝つ=感情に飲まれず、冷静な判断で勝機を掴む
孫子が説く「智・信・仁・勇・厳」の中でも、信と仁はEQの力そのものです。
EQを鍛える実践戦略(スモール・ウィンズ戦略)

社会学者カール・ワイクの「スモール・ウィンズ戦略」──小さな成功体験の積み重ねが、自己効力感とEQを強化する。
毎日の実践Tips
- 感情レビュー(日記に感情を書き出す)
- 深呼吸や瞑想で感情をリセットする
- 小さな成功を1つ記録してドーパミンを活性化
- 感謝を伝えてオキシトシンを促進
これらはすべてEQを高める「習慣的トレーニング」です。
ダントツ勝利学との接点
EQを高めることは、感情の隙を断ち、勝ち筋を掴む力に直結します。
- 哲学:孫子の兵法で「己と彼を知る」
- 科学:バンデューラ、ゴールマン、サロヴェイの研究
- 戦略:スモール・ウィンズによる日常習慣
これらを統合し、感情・思考・身体を整えるのが「仁子のダントツ勝利学」です。
まとめ ― EQを鍛えることが未来を変える
EQは生まれつきの性格ではなく、鍛えられるスキルです。
感情を理解し、制御し、他者と信頼を築ける人は、人生のあらゆる局面で勝ち筋を見抜きます。
👉 今日からできるのは「感情のレビューをつける」「感謝を伝える」など小さな習慣です。
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ここから先は、知る者ではなく鍛える者の領域
この記事で触れたEQは、ダントツ勝利学の6つの領域(哲学・戦略・科学・感情・思考・身体)の一部にすぎません。
読むだけでも成長は始まりますが、本当の変化は「鍛える」ことでしか得られません。
ダントツ勝利学では、E-Bookや講座を通じて、古典思想・最新科学・実践戦略を統合し、日常で勝ち筋をつかむ力を育てる育成プログラムを提供しています。
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知識を超えて、自分を鍛える学びが、ここから始まります。